プリマハム（2281）20140203

会員の方からプリマハム（2281）の質問がありました。


有賀さん

こんにちは。
いつもありがとうございます。
22日のセミナーは仕事があり、あいにく参加できません。とても残念です。

さて、その後の持ち株の報告と質問です。

（省略）


この中でいちばん気になっているのが、プリマハムです。
金曜に日経の記事が出ましたが、上がりませんでした。というか、日経に連れられ、まさかの下落。
日経記事はプリマのリークによるものでしょうから、週明けの発表は記事とおりの内容でしょう。
業績から判断してこれ以上売られることは無いにしても（そう願いたい）、本格上昇するかといえば、不人気ゆえ物色待ちにならざるを得ません。

この一年の株価を振り返ってみました。
13/01/25　157円→176円　日経推測記事（タイトル：プリマ営業益最高70億円）
13/02/05　172円→174円　記事推測とおりの決算発表で株価動かず。
13/02/20　175円→176円　日経記事（タイトル：プリマハム、上ぶれ期待）
13/02/27　176円→209円　低位株内需株の物色到来。TPPの思惑も絡み、以降継続的に買われる。
13/05/07　最高値294円
13/05/13　273円→247円　今期減益予測で、一転、株価軟調に。
13/05/23　240円→218円　日経平均がピーク通過し下落に拍車。
13/08/21　183円→188円　日経記事（タイトル：ハム大手苦戦、プリマはコンビニで稼ぐ）
14/01/31　191円→187円　日経記事（タイトル：プリマハム、営業益１割増）

営業益の前年同期比１割増というのは78億円程度（日経記事の80億円弱）ですから、4Qが営業赤字だとしても通期の会社予想をクリアできますし、4Qが昨年並みであれば昨年の通期実績を１割以上も超えることが出来るのですが、株価がこの調子ということは、80億程度は想定内ということでしょうか。

この会社は次の本決算でもコンサバな予測を出してくる可能性が高いですから、この3ヶ月で株価がどれだけ見直されるかだと思うのですが、この調子だと更なる長期戦を覚悟しなければなりません。
低位バリュー株であることは承知なのですが、200円程度が低位置になりつつあり、何年かかるのだろうかトホホという感じです。

会員向けには下落過程の240円台付近から、下値不安少なく買い場到来という形で紹介されていたと思います。
この銘柄については会員向けメールで何度も解説していただいており、これ以上は無いのかもしれませんが、この半年の株価動向も踏まえ、プロの目から見た、見通し・アドバイスなどございましたら、コメントをいただけたらと思います。

以上、よろしくお願いいたします。


（回答）

○○様


お問い合わせありがとうございます。


お問い合わせのプリマハムに関する見解をお伝えします。
プリマハムの株価が上がると思った理由に関して。

まず第一点は生産性の向上によって業界内で圧倒的なコスト競争力があるため、
恒常的なシェア上昇により成長が見込まれたことがあります。
この点に関しては着実に株価に織り込まれたと思います。


二つ目の点は利益規模がある一定水準を超えてくると、
バリュエーションの水準が切り上がることがあるが、
その水準は営業利益で１００億円が見えてくる局面と考えられます。
食品株で１００億円を超えてくると一人前となりカバーするアナリストが増える傾向にあるためです。


かつては営業利益70億円の会社が１００億円になるような局面が一番バリュエーションが切り上がりやすく、
おいしかったイメージがあります。


食品株の場合、成長率がさほど高くなくても、大型企業のPERは比較的高めです。
たとえば同業の日本ハムのPERは22倍です。
これは利益変動がそれほど大きくなく、リスクが小さいためと考えられます。
しかし、これは大型株に限ったことで、小規模企業の場合は必ずしもそうはなりません。
もっとも、業績が低迷しBPSが下支えになってPERが高い業績はあるがそれは例外です。


では、どうして好業績にも関わらず、バリュエーションが切り上がらなかったのでしょうか。
というか、一旦切り上がったのですが、安定しなかったのでしょうか。


ひとつには急速に進んだ円安があります。
円安にもかかわらず同社の業績は好調だったのですが、
同じ食品株でほかにもっといい会社があったということです。
たとえば、ヤクルト（2267）、キッコーマン（2801）、東洋水産（2875）などです。
これらは海外で稼いでいる企業で、円安メリットがあります。
しかし、円安なら自動車や電機の方がメリットが大きいので、
そちらのほうが上がっていますが、食品株の中ではこれらの株が強かったということです。
また、これらは円安という理由でわかりやすいため、
プリマのようないい理由があえて難しいのに手を出さなくてもよかったということでしょう。


また、去年の買われ方が悪かったということもあるかもしれません。
いかにもぼろ株のような買われ方をしてしまった。つまり、TPPという材料で買われたということでしょう。
業績向上で着実な買われ方をした後に、材料に短期筋が飛びついたら上がってしまったという感じです。
ここは少し微妙で、そのことによって時価総額が大きくなると、
ファンダメンタル派にも無視できなくなるということも考えられたのですが、
もう一段上がって手が出せなくなったということかもしれません。


もうひとつは、若干収益のプラスサイドのサプライズとして、食肉収益の回復がありました。
食肉の収益は過去をたどると、1、2年で高不調を繰り返しました。
それゆえ、ピークからかなり悪くなった段階でしたので、
すぐになるかどうかは別にして、ある時点でプラスサイドに転じると見ていました。
ところが、この第２四半期まで食肉収益が悪化し続けました。
2011年第２四半期からの悪化ですから、すでに9四半期悪化しました。
それにもかかわらず、トータルの利益は伸びていたわけですから、
この点が誤算と言えば、言えますが、これがなくても上記理由で上がるとは見ていましたが。


ただし、圧倒的に業界内での地位は上がっていますので、
株価面でもエネルギーが溜まっているのではないかと考えられます。
仮に今の新興国不安から円高になり、同様の理由で不況になれば、
また違った位置づけになる可能性はあると見ています。
不況になれば、食品株の注目度は高まりますが、円安メリットの大きい大手企業は買いにくくなります。


以上が現時点のプリマハム（2281）に対する見解です。

有賀