20171017会員からやまみ（2820）の相談

2017年10月17日
会員からの銘柄相談

有賀様

いつも大変御世話になっております。
当倶楽部に入会させていただきプリマハム、三菱食品など
順調に値上がりをしており、ホールドすることに不安がなく安心して投資が出来るようになり感謝しております。

ところでご推奨の「やまみ」については１８００円から入ってずっと下がり続けています。
チャートも下りトレンドですので一度売り逃げた方がいいかと思いますが、
いかがでしょうか？
広島出身の私としても応援をしたいと思っていますが、不安になっております。
ご多忙と思いますが、ご教示ください。

○○


（第1回目）

○○様

当クラブの基本的な考え方は、ファンダメンタルの見方の根本に変化がない場合は、
株価は当然安い方がいいのです。

特にやまみは長期投資が前提です。
その意味で同社の基本的な強さは、半年、1年で変わるものではありません。

むしろ、上がりすぎの銘柄があれば、多少利食って、まやみに変えるべきでしょう。

下がったから、売ろうか、という発想からは卒業してください。
もちろん、全部が全部ではありませんが。

ただし、それはやまみがこれ以上下がらないと言っているわけではありません。
今の相場は変化が出た銘柄以外はなかなか大きく上がりません。

マーケットは常に偏りがちです。

ただし、多少の下値があったとしても、やまみは業績に変化が見られれば、その分はむしろ一気に取り戻す可能性が高い銘柄です。

株価ではなく、企業の中身を見て、企業の中身で議論をしましょう。
チャートの話もなしにしてください。

有賀





（第2回目）

まずは取り急ぎ連絡いたしましたが、時間がなかったこともあり、
伝えたいことが十分伝えられませんでしたので、改めてお答えします。

（なお、会員メールに使用するため、あえてじっくりと解説している面もあります）



まずは、運用時においては、個々の銘柄ごとに考えると同時に、
ポートフォリオとしてリスクをコントロールすることも学ぶ必要があります。
まずは、保有銘柄全部が上がっている状況にあるとしたら、それは明らかにリスクが高まっているということです。
むしろ、7割が上がっていて、3割が下がるか、動いていない状況が最も安心感があります。
それゆえ、上がっているグループから、下がっているグループに少しずつ資金をシフトするという考え方です。



ただし、相場というものは、その時買われているものがさらに買われる傾向もありますので、
入れ替えるにしても、それほど急ぐ必要はなく、本当に徐々に行うのがいいでしょう。



また、本当に儲けたいなら、あまり欲をかいてはいけないという考え方も重要です。
どうしても自分の持っている銘柄が大きく上がると、今度は下がることばかり心配になります。
しかし、株価は勝手に上がったり下がったりするもので、それにいちいち心を奪われてはいけません。
下がるのが嫌で売ってしまって、そこからさらに上がって後悔する人が続出です。
当クラブでもプリマハム（2281）を売ってしまって後悔しているという報告が数多くあります。



これは、その企業の本質的な価値を見ず、株価ばかりを見ているから起こる現象です。
株価は実は何も教えてくれません。
それは、株価を動かしている大多数の投資家は、本質を知らない人々だからです。
それよりも企業の価値を見てください。
当クラブのレポートを深く読んでください。



ですから、当クラブとしてはチャートにはほとんど意味を見出していません。
ただし、個々の会員の方が、一つのよりどころとしてチャートを用いることは否定しません。
よって、チャートを論拠にした問い合わせは遠慮してください。



もう一つは当クラブで、長期投資と位置付けている銘柄の位置づけだけ簡単に説明します。
わかりやすいのは、同じく長期投資と位置付けるライドオン・エクスプレス（6082）とやまみ（2820）の違いです。
ライドオンは寿司の宅配でビジネスを確立していますが、その利益の一部を出前請負に投じています。
これが成功すれば、巨大なビジネスになります。
しかし、必ずしも成功が決まっているわけではなく、ライバルに負けてしまうかもしれません。
ただし、宅配寿司で確立した出前のノウハウでは間違いなく日本一で、その優位性が十分出前請負に通じると見ています。
でも、すでにビジネスモデルが確立しているわけではなく、まだまだ時間もかかります。


一方、やまみはすでに完ぺきなビジネスモデルを確立していて、今後10年経ってもその優位性はゆるぎないものです。
ここがライドオンと根本的に違う部分です。
たまたま、設備投資の初期不良や、上場したことによって収益性が世の中に知られたことで、ライバルの強烈な抵抗にあっています。
そのため、一時的に業績が伸び悩んでいる局面です。しかし、やがて抵抗している企業は体力が持ちませんので、撤収せざるを得ません。
しかも、上場して1年ちょっとで、今のところいい場面がなかったので、市場でもほとんど同社の強さは認識されていません。
現在、電力価格が上がっていますので、それが一時的には業績の足をさらに引っ張るかもしれません。
しかし、それは枝葉末葉のことにしかすぎません。


もちろん、株価は本質的な価値だけで動くわけではなく、短期的な業績変動でも当然は変動します。
それをどうとらえるか、最後は個々人で決めるしかありません。
ただし、短期的な変動の方に目を奪われても、あまりいい結果になることはありません。



一例として、日特エンジニアリング（6145）のケースがあります。
2016年2月の段階では業績も受注も悪化中で、いつ下げ止まるかわからない状況でしたが、
株価はほぼ下値に届いたので、買って持っておいたらどうかというレポートを作成しました。
場合によっては数カ月でごろっと状況に変化が現れるかもとしていました。
この時の株価は1,000円未満でした。
そこで、買った人もいれば、すぐ動かないなら様子を見ようという人もいたと思います。


ところがその3カ月後の通期決算発表で、次期の業績予想が57％の営業増益予想でした。
株価は依然1,000円未満でしたが、即買い指令を出しました。
当然寄付きから買い気配で、10％以上高く寄り付いて、そこからは毎日上昇を続けました。
そして、現在の株価は4,000円を超えています。



つまり、株価が実態価値を大きく割り込んでいるときに喜んで買うか、
良くなったら急騰したとしても買うか、どっちかです。
それは好き好きで結構ですが、どちらもできないなら株では儲からないというだけです。
ただし、時々急騰時に買えというレポートを書くと、買っていいですかという問い合わせがあります。
それだけはやめてください。はっきり言って、株式投資をする資格がありません。



このように、株価変動だけを見ていても意味はありません。
株式投資にとって重要なのは、株価変動ではなく、企業の価値を見ることです。
それがなければ、進歩がありません。
何度も繰り返しますが、株価だけの内容で、問い合わせるのは止めてください。



H&Lリサーチ
有賀


有賀先生

お世話になっております。
またご丁寧なお返事をあらためて頂き恐縮しております。
私は昼間は自分の仕事もあり、自分で企業のビジネスモデルをじっくりと調べることもできません。
先生のレポートから数字をみて業績予想を確認することしかできず、
チャートに一喜一憂している状態です。
しかしこれからは企業価値については先生のレポートから読み込んで
自分でも少しでも評価できる目を持って行きたいと思います。

恥ずかしながら、例で挙げておられた日特エンジニアリングは私は一旦買って
株が上がらない状態に耐えきれず、売ってしまい、後で後悔した会員でもあります。
もう少し企業価値、先生のレポートを信じて長期投資に徹したいと思います。
引き続きよろしくお願い申し上げます。


○○