ファンコミとインターのバリュエーション

2012年10月21日

（質問）

ファンコミ急騰に伴い、インタースペースへの乗換も一方との話ですが、
ビジネスモデルが若干違うように思えるのですが、それでも有効なのでしょうか？
また、インターは
・利益率が低そう
・月次がないため不透明感がある
という要素もありますよね。
また、PERの有効性ですが、ファンコミよりPERが低いというのは
それほど影響があるのでしょうか？
ファンコミのチャートを見ると今の時点では昨年2011年の高値152800円を抜き、2010年の高値168700円を抜くとさらに面白いと思ったため、ファンコミ売りは悩ましいので、確認したいと考えた次第です。


（回答）

（この質問の前提として、第2回セミナー音声第1部にありますように、両社は2012年度EPSはともに特殊で、ファンコミは過大、インターは過小で、表面上のPERはファンコミが10.9倍、インターは12.4倍ですが、実質はファンコミが14.9倍、インターは10.1倍なので、そろそろファンコミからインターに乗り換えた方がいいだろうという私の意見に対する質問です。）

まず、ビジネスモデルの違いですが、
ファンコミは中小の顧客が多く、固定的な会費の収入があるため、売上が上がっても上がらなくても一定の利益が出ます。
つまり、ビジネスモデルとしては、ボラティリティの小さな収益構造です。

一方、インターは大手企業の顧客が多く、利益が売上に連動しやすい面があり、ボラティリティが高いビジネスモデルです。

つまり、状況がいい時は、インターの方が利益の変化率は高くなります。

次にPERから株価を比較する場合の考え方です。

一般的にPERを用いる場合、同業種で比較をします。
この同業種の定義も難しいのですが、似たようなビジネスであれば、
似たような成長や利益変化だろうから似たようなPERで評価しておけばいいという考えに基づくものです。

一方で、規模や流動性でPERが決まる部分もあります。
傾向としては、大型、高流動性に高プレミアムというものです。
そもそもこれ自体がおかしなことで、実はPERは将来の成長性と比例していれば、その後のリターンが等しくなるという性格です。
つまり、本質的にはPERは将来の成長性で決まるべきもので、その歪みがあるならそこでリターンが得られるという性格です。
もちろん、将来の成長性自体が実は誰が予測しても不確定なので、
業種や規模ごとに今市場で付けている水準がきっと正しいだろうという実はあやあふやな根拠でそれぞれの平均として使っているだけです。

特にこのところは、小型株の見直しで、大型のPERが下がり、小型のPERが上がっていますが、規模や業種の平均PERというものはそれほどあやふやなものです。

例えば両者を比較しますと、

去年株価が高値圏にあった時期の6月から8月を見てみます。
この時期は、震災後で震災特需の防災グッズや水などが売れ、ファンコミ月次の伸び率が高かった時期です。
インターの平均的な株価は11万円程度でした。
ファンコミは13万円程度でした。
チャートのひげの部分は意味がありませんので、無視します。
それぞれ2011年度の実質EPSに対して、ファンコミは12.5倍、インターは17.7倍です。
ファンコミのEPSはちょうど会社実績と同じですが、インターは純利益が大きくて見かけ上は8.3倍でした。

このときは逆にインターを過大評価しすぎたため、その後のやられ方がめちゃくちゃ大きくなりました。
ただし、ここでの議論は、週足で見た髭のようなものは、分析対象としては意味がありませんので、念のため。
結果から言えば、ファンコミのPERが高いというのは、むしろ最近だけのことであって、あまり普遍的にあてはまるものではありません。
おそらくそれほど、このアフィリエイトビジネスは理解されていませんので、世の中からみれば、インターもファンコミも目くそ、鼻くそ程度の差でしかありません。

もちろん、逆のリスクとして、表面上のEPSで株価が動かされ、両方とも短期で終わるとすれば、ファンコミが勝ったまま、両方終わるというリスクはあります。
ただし、そこまでは、ファンダメンタルからのアプローチではいかんともしがたい面はあります。


あと、チャートの考え方ですが、チャートは自分より知識や情報が多い人々が株価を形成しているので、
市場で形成された株価は何らかのその企業に対する知識や情報が反映されていると考えるものです。
しかし、私の立場は、それほど知識が深くない人々によって形成されている株価が、正しく未来を反映されているとは到底考えられません。
同社に対する調査や分析を私以上にやっている人がいたとしてもせいぜい数名しかいないはずです。
しかも特にそれだけの分析をしていれば、何もこんなに高いところで買う人はいません。
つまり、今、買っているのは間違いなく、最近気づいた人や株価の動きだけでついて来た人だと思えます。


PER議論はおそらく世の中で私ほど徹底的に分析したことがある人間に会ったことはありません。
意外と重要で、使いようによって便利なのですが、深く研究している人は、ほとんどいない不思議な指標です。
しかもみなさん本当に適当に使っています。